全てが「認知的負荷」高い内容       2021年春 激変 こうなる中学校教科書 ③数国理社編

 激変の英語ほどではありませんが他の教科でも現行版のブラッシュアップされた内容となっています。

「思考力」「判断力」「表現力」の育成の重視のもと、日常生活との関連性、対話文を取り入れたコミュケーション、様々な情報(統計、資料、図版、写真)、読解量の増加…近年の公立入試同様に認知力の負荷が高い内容に変化しています。

 また、全体的な流れとして先述した知識・技能に加え「思考力」「判断力」「表現力」の重視、文理・教科横断型=他教科連携が打ち出されています。

 また、どの教科も各単元について「長い会話文」の問題文に出る傾向です。いわゆる「思考力」を試される試験問題が多くなっているので、どの教科にも「会話」が多く掲載されています。

すでに当塾武庫教室のある近隣(尼崎市武庫之荘エリア)の中学校(武庫中、武庫東中、常陽中など)の定期考査や兵庫県の高校入試などの問題ですでにその傾向は出てきていますが、今後はいっそう上記の傾向が反映されてきます。

■数学 日常生活との結びつけた問題形式

①実社会とのつながりを重視

日常生活で「なぜ、数学を学ぶのか」が強調されている内容が多いです。例えば「方程式」の単元で「校外学習で1日乗り放題のチケットを買った方が得か?」や防災、SDGsなどを題材も扱われています。

②学年間の移行に注意

中1で「素因数分解」「観察や試行によって得られる確率」を、中3で「誤差、近似値」など。入試に頻出だった「階級」「代表値」は小6におります。

③合教科を明示した問題

理科、社会に数学的処理が必要な問題が登場することもありましたが、今回は数学に理科、社会の内容が盛り込まれています。

■国語 実社会で即通用する!?科目へモデルチェンジ 論理的読解力も

①新設「情報の扱い方」

 現代文、古文などに加えて新設された「情報の扱い方」はグラフや表の読み取りだけでなく「情報」として捉え、関係性や整理していくことを通じ、内容を論理的に理解していきます。分析のため情報の読み取り、デスカッション、レポート~壁新聞の作成、ポスター、チラシの作成、スピーチ、プレゼンテーションと実社会に即結びつくものが特徴となっています。

②ビジネスにも通じる「思考ツール」~高校の「論理国語」へ

 文学的文章、説明的文章で「どの観点から内容を読み解くか」のスキルや思考ツールが多く掲載されています。高校で新設「論理国語」へスムーズに入れるような内容です。

③語彙力の強化

 国語=読解力は全ての科目の土台というのは変わりません。その中で大切なのは語彙力です。ある社の教科書は以前から抽象度、難易度が高い語句が1555語も指定されています。

④教科にとらわれない「意見発信スキル」=表現力も

 「根拠を示して説明する」。作文や発表だけではなく、英語の意見作文、社会の記述問題にも通じます。重視される「表現力」育成に欠かせない内容です。

 ■理科 読解力が必要!?

 ①実験観察の目的、仮設、手順を重視

 現行以上に実験観察の目的や手順、予想~仮説などプロセスが重要視されます。どの教科書にもそうですが、題材で先生、生徒の「会話」が多くなります。知識事項の整理が大変で、ここでも読解力が必要とされます。

 ②ダニエル電池の登場

 高校の化学で出てくるダニエル電池が中3化学分野に出てきます。従来の電池=ボルタ電池のしくみに加えてしっかりと扱われます。ボルタ電池より中に素焼き版(半透膜)で電解液を分けられていて、長持ちするものです。ここでやるということは、大学入試問題にもよく出ていた内容が高校入試に出る可能性があるということです。

 ③各分野の移行 中2が濃い内容に

 これまでの各分野が学年移行、再編されます。中1の「圧力」が中2の地学分野の「気圧」に移り、2年生の内容が分厚くなっています。

 ④最新の入試傾向「活用編」!長い会話文

 ある教科書で最近の傾向の「思考力系」の入試を思わせるような「長い対話文」の問題が掲載されます(これはどの教科も該当します)。実験観察のプロセスを重要視する傾向は加速されます。

■社会 SDGs学習の本丸!?

①資料・情報分析 数学的な学習単元も

 地理、歴史、公民とも統計、資料、写真などの読み取りが重視されています。地理の時差の計算では数学の学習単元を示されているような工夫もみられます。

②主権者・消費者教育(公民)

 選挙権が18歳に引き下げられ、「主権者」としての意識付けが内容に表れています。また、PL法(製造物責任法)、電子マネーなど消費者教育の視点も明確になっています。

③近現代重視(歴史)

 歴史の履修単位時間が5時間増加。増えた分は近現代の歴史に充てられます。

④SDGsは知っていて当然!

 地・歴・公ともSDGsの記述が加わります。この視点と流れは国語の作文や英語の意見作文などに合致するものが多く、ここでしっかり受験対策として学んでいくことが大切です。

 ■まとめ だからこそ基礎・知識の定着が大切

 「思考力」「判断力」「表現力」の強化をうたっていますが、基礎力、知識の習得があってこそです。まず、基礎を固めてからの思考・判断・表現だと思います。内容・量はグレードアップすることですが学校の授業数は増えません。。絶対的な学習量も必要となります。ということは、これまで以上に当塾の役割も増えてきます。また「実社会、日常生活の中で豊かな語彙」「論理的な物事を考える習慣づけ」が今回の教科書の特徴です。

 お子様の生活の大半はご家庭です。ニュースメディアを見てのその感想の親子の会話、コミュニケーション(難しいお年頃でしょうが)など、ご家庭での「学び」もより大切になってくると思います。

①中学校教科書改訂 総論編

②中学校教科書改訂 激変の英語編