単語量の増加、難易度も別次元に       2021年春 激変 こうなる中学校教科書 ②英語編

 「本気なのか」と疑うほどです。英語は激変レベルです。新教科書の特徴はおおまかに言うと次の3点。

①どのページも新出単語が多く難しすぎる。

 単語の多さと難度は今の教科書と別次元。とりわけ新中3生は未習の単語、文法が多く授業で混乱する可能性もあります。

※教室の近隣中学(武庫中、武庫東中、常陽中)=尼崎市で使用している現行の「TOTAL ENGLISH」(学校図書)はなくなり、「HERE WE GO!」(光村図書)になります。このシリーズの小学生の教科書(武庫の里小、武庫小、武庫東小、武庫南小など尼崎市で使用中)で、すでに「Can」の文が出てきています。

 ②中3のリーディングは確実に高校レベルに。

 高校で習う文法が中3に。また読解内容がSDGsを意識したものや、抽象度が高い文文章が多く高校生レベルに。英語力以前の学力や知識も問われる内容です。

③ターゲット文の運用練習が少ない。

 現行ではその単元で習う文法の文で文法を学べましたが、内容重視(SDGs系のテーマ)で基本文法習得より活用(=発表、ディベートなどのアクテビティ=表現力)に重点を置かれています。基本の文法、構文が理解できず、文の内容も読み解けないまま進んでいくがある危険性があります。

 すでに当塾武庫教室の近隣(尼崎市武庫之荘エリア)の中学校(武庫中、武庫東中、常陽中など)の定期考査や兵庫県の高校入試などの問題ですでにその傾向は出てきていますが、今後はいっそう上記の傾向が反映されてきます。

■単語量はほぼ倍!?

 単語力も大きなウエートを占めます。英単語数はこれまで、中学1200語、高校1800語でしたが、21年度から小学校600~700語、中学1600~1800語、高校1800~2500語に変更されます。

 合計最大2000語の増ですが、小学校で習う単語数が増加しています。増加の割合としては多いため、難しい英単語が2000語増えるわけではありません。ですが、生徒にとって大きな負担になるはずです。

 小学校で習った英単語は教科書では学習したものとして掲載されており、新出語句として扱われていません。また中学校でみれば2200~2500語になり、中学卒業までの約2倍の単語数ということになるのです。

■小学生英語の重要性

 中学の学習内容がかなり厳しくなるということで、すでに教科化されている小学生のうちから相応の基礎力(=文法力)が必要になってきます。現在の小学生の方はしっかり今にうちに「英語」の基礎をつけておく必要があるでしょう。

■高校の内容の一部が中学に

 中1は従来と異なりbe動詞、一般動詞から一気に入ります。スタートで英語の習熟度が大きく影響されます。

 単元でいうと感嘆文、原型不定詞、現在完了進行形、仮定法などが中学3年に組み込まれます。仮定法=If~ は高校でもしっかり時間を割く重要な単元です。当然ながら上記の「原型不定詞」は「不定詞」を、「現在完了進行形」は、よくつまずく「現在完了」を理解しておかないとできません。

とくに現在完了進行形は形が複雑。「ある動作や行為が過去から現在まで続いている」。その理解だけでは使える英語になりません。ある教科書では『私の〇〇歴』という題材を使って運用練習をしています。

■授業形態の変化 4技能重視 英語での授業と「やり取り」「発表」

 さらに英語の4技能「聞く」「話す」「読む」「書く」を重点に置いた内容になります。原則ですが、授業は英語で行われるようです。4技能のうちスピーキングで「やり取り」と「発表」=英語でのプレゼンテーション!?が新たなに内容が加わっています。

 とりわけ近年の高校入試問題の英作文である課題で自分の意見を表現、発信する問題が増加しています。この流れが教科書に反映されています。

■基礎力プラス処理能力 題材も幅広い知識(思考力)を

 題材文に高度な理系分野の内容も扱われます。ある教科書は中3で「食物連鎖」を、鹿の生息数が与える影響などが扱われています。単語もなかなか高度で、読解に必要な単語が見られました。

 後述しますが英語だけではなく全体的に問題の読解量が増えます。英語もそうです。読み解くスピード=処理能力が問われます。また英語文の題材も文理融合のSDGsなどが取り上げられる傾向で幅広い知識=思考力も問われそうです。

 

■まとめ 基本=文法力 処理能力の養成急務 学習量も検討…

 長くなりましたが学校の授業だけで事足りるのは理想です。ですが、どうみても時間が足りなくなっていると思います。当塾でも激変の英語に対応していきます。個人的にはここまで急激に変えるのは心配です…。できる子できない子の差がより激しくなるかもしれなませんし。。とは言え、急変する社会、グローバル化する社会に対応するため「使える英語」が必要なのです。

 学校の授業だけではやりきられない?4技能の根幹「文法」も大切にしていかなければなりません。他の教科もそうですが特に英語は学習内容が増えますが、授業時間が増えません。また、さらに求められる英語4技能の向上と「処理能力」を高めるためには、これまでの学習量、内容だけでは通用しないのは、確かかもしれません。

①中学校教科書改訂 総論編

③数国理社編